育児を掘り下げてみる。

育児と子どもの衣食住について考える。

エビデンスに基づいた子どもの冬のスキンケア方法。

どうも、看護師ライターのちびです。

一気に寒くなり、冬に近づきましたね。

 

今年もやってきました。乾燥の季節。

 

 

空気の乾燥に伴い、気になってくるのが

お肌の乾燥。

それは子どもも例外ではありません。

 

今回は、子どもの肌の特徴と、

乾燥する冬に徹底したい、

子どものための正しいスキンケアについて書いていきたいと思います。

 

 

 

子どもの皮膚の特殊性

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1.皮脂分泌が少ない

 子どもの肌は、

皮脂がとても少なくなっています

 

皮脂は、思春期頃から増え始めます。

これは、皮脂分泌には性ホルモンが関係しているためです。

産まれてすぐの赤ちゃん(生後2~3ヶ月頃迄)は例外で、一過性に皮脂分泌が盛んに行われます。これは、胎児のときに、お母さんから移行したホルモンが体内に残っており、皮脂分泌を促しているためです。

 

(そのため、新生児~生後2.3ヶ月までの赤ちゃんには、今回紹介する「子どものためのスキンケア」は適しません。)

 

 このように生後2.3ヶ月以降から、思春期頃(12~3歳まで)までの子どもは、皮脂はとても少ないため、肌の水分が蒸発しやすく、

乾燥しやすいのです。

 

 

2.皮膚バリア機能が未熟

 

子どもの皮膚は、

構造的に大人の皮膚と比べて薄く、部位によっては大人の1/2程の厚さしかないため、

機械的刺激に弱く、バリア機能が未熟です

 

また、皮膚バリア機能の維持に重要な役割を果たす

角質の天然保湿因子(アミノ酸)や

角質細胞間脂質(セラミド脂肪酸など)なども少なく、この点からもバリア機能が未熟であると言えます。

 

 

皮膚バリア機能とは

 

 バリア機能バリア機能と言っていますが、

 

皮膚のバリア機能とはなんなのか?

 

人間の皮膚には、

外界からの異物(細菌やアレルゲンなど)の侵入を阻止したり、

角層の内側の水分が蒸発するのを防いだりする役割があり、

これらの機能のことを「皮膚バリア機能」と呼びます。

 

 皮膚バリア機能を維持するためには、

肌の水分量が一定に保たれている必要があります。

 

肌水分量を維持するためには、

表皮内の角層に存在する「天然保湿因子」「細胞間脂質」「皮脂」が重要な役割を担っており、それぞれがバランスよく機能することで、

肌のうるおいをキープしています。

 

皮膚バリア機能が低下するとどうなる?

 

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子どもの肌のように、

これらの因子が少ない場合、

肌水分が外へ逃げてしまいやすいため、

 

皮膚 が乾燥し、角層が構造異常を起こします。

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角層が構造異常を起こすと、

肌水分を保持できないために、更に乾燥を引きおこすことに加え、

 

外界からの異物(アレルゲンや細菌など)が侵入しやすくなります。

 

そして、これらの異物(アレルゲンなど)が

肌の内部へ入り込むと、

異物を排除するために炎症反応が起こり、

かぶれなどの皮膚炎を引き起こしてしまいます。

 

アトピー性皮膚炎を発症する可能性

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この異物を排除するために起こる炎症反応が、

過剰に、長期に渡り生じるのが

アトピー性皮膚炎です。

 

アトピー性皮膚炎の患者では、皮膚バリア機能が低下しているということがわかっています。

 

 アトピー性皮膚炎ハイリスクの乳幼児に対し、保湿を行った場合、発症が15%抑えられたという研究報告もあり(※1) 

適切なスキンケアを乳幼児期から行うことで、

アトピー性皮膚炎の発症リスクを下げることができます。

 

アトピー性皮膚炎は食物アレルギーのリスクになる

 

 2008年英のLackらの提唱した「二重抗原曝露仮説」では、

「経皮的に食物アレルゲンに曝露されると感作が成立し、適切な量とタイミングで経口摂取された食物は、むしろ免疫寛容を誘導する」としています。(※2)

 

卵アレルギーを例にすると、

 

卵が皮膚の免疫細胞に見つかると卵アレルギーになるが、

経口摂取すると、卵アレルギーにはならないような免疫の働きになる

 

ということです。

 

つまり、バリア機能の低下した皮膚に

アレルゲン(食べ物や植物、ホコリなど)が付着し、肌内部へ入り込むと、

食物アレルギーを発症する可能性があるということです。

 

 

乾燥し、皮膚バリア機能が低下すると、

炎症を起こし、アトピー性皮膚炎になる可能性があるだけでなく、食物アレルギー発症のリスクにもなってしまうのです。

 

子どものスキンケア

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前述の通り、皮膚が乾燥すると皮膚バリア機能低下につながり、

炎症やアトピー性皮膚炎、さらには食物アレルギーへと繋がってしまう恐れがあるため、

正しくスキンケアを行い、

皮膚バリア機能を維持、補完していく必要があります。

 

子どものスキンケア、3原則

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子どもの肌の特徴をふまえ、

スキンケアを行う上で大切な3原則は

 

  1. 洗浄しすぎないこと
  2. 保湿と保護
  3. 刺激を最小限にすること

 

の3つです。

これさえ理解して徹底して実践していれば、

乾燥は防ぐことができます。

高い保湿クリームや、オイルは必要ありません。

 

具体的な方法

 

3原則にそって、子どもの肌の

乾燥を防ぐための正しいスキンケアの具体的な方法を解説していきます。

 

1.洗浄しすぎないこと

 

  界面活性剤で過剰に皮膚を洗浄すると、

 肌の水分をキープするために必要な皮脂を落としすぎてしまいます。

 

 特に子どもは、もともと皮脂の分泌が少ないため、界面活性剤を用いて過度に洗浄すると容易に皮膚の乾燥を引き起こします。

 

 また、皮膚には常在菌が存在していて、

外部からの病原菌の侵入を防ぐ役割を果たしています。これらのバリア機能の一端を担う常在

菌を洗い流してしまうと、皮膚の防御力が低下してしまいます。

 

 基本的に界面活性剤を使用するのは、陰部や腋窩、足など汚れが強く、匂いの強い皮脂のでる部分のみで十分です。(食事や絵の具などで汚れた部分も)

 

 皮脂の融点は30℃と言われており(※3)、湯船に浸かるだけでも、大抵の汚れや皮脂は落ちます。

とはいえ、毎日軟膏やワセリンなどの保湿剤を塗っている場合、

落としきらずにまた上から塗り重ねていってしまうと、皮膚トラブルのリスクになるため、

湯でしっかりとすすぐか、泡立てた石鹸を付けるなどする必要があります。

 

2日か3日に1回、洗えば十分だと私は思います。

 

2.保湿、保護

 

 水分量が少なく、皮脂も少ない子どもの肌には「保湿、保護」はかかせません。

特に空気の乾燥する冬は、必須になります。

 

 

乾燥に対するスキンケアの基本は、

 

低下している肌のうるおいを補うために保湿を行う

皮膚バリア機能の補充・補完、または代償を行う

 

この2点です。

 

保湿を行うために用いるのは、ヘパリン類似含有物質製剤(ヒルドイド®など)や尿素製剤、保湿成分を含むローションや化粧水、クリームなどで、

 

皮膚保護のために用いるのは、皮脂の代わりとして、白色ワセリンやプロペト®などです。

 

 

 

 肌のカサつきや、粉を吹いているなど、特に目立った乾燥の兆候がなければ、子どもは特に、

ワセリンやプロペト®のみを塗ることをおすすめします。

 

 ワセリンは、様々な軟膏の基材として使用されており、肌への刺激が少なく、また多少口へ入れても特に問題はないので、子どもにはおすすめです。

 

 ワセリンなど保護剤だけでは十分でない(乾燥してしまう)場合は、保湿成分のあるクリーム等を使用または併用します。

市販のもので構いません。皮膚科に相談すると大概ヒルドイド®を処方されます。

 

赤みや湿疹が出たり、乾燥が改善されないようであれば、使用する保湿剤の相談も兼ねて皮膚科を受診しましょう。

 

 

 保湿、保護剤の塗るタイミングは、1日1回塗るよりも、1日2回(朝夕)塗る方が保湿効果が高いとされているため(※4)、

朝と、お風呂あがり(体の火照りが収まった後)に塗るのがおすすめです。

 

 

3.刺激を最小限にすること

 

 子どもの肌は大人に比べ薄い上に、皮脂などの皮膚バリア機能を担うものも少ないため、

少しの刺激が乾燥や皮膚トラブルに繋がります。

 

 赤ちゃんのよだれや、食べこぼし、またそれを拭くことによる刺激も肌への刺激になります。

 

また、冬の冷たい風や、乾燥した空気も刺激になります。

 

 肌の保護をするために、ワセリン等の油剤を使用し、子どものいる部屋は加湿を十分に行うようにしましょう。(加湿は感染予防にもなります)

 

 

 身体を洗う時にも、なるべく肌を擦らないように注意します。

タオルやガーゼで擦る必要はありません。

石鹸などを十分に泡立てて(もしくは泡ソープ)、泡ごしに洗うイメージで優しく洗い、洗浄剤が残留しないようしっかりとすすぎましょう。

 

また、刺激の少ない、ベビー用の洗浄剤や敏感肌用のものを使う方が、肌への刺激も少なく、無駄に皮脂をもっていかれることも防げるので、

洗浄剤も慎重にえらびましょう。

(我が家ではミノン、和光堂のみるふわ のどちらかをつかっています。)

 おわりに

 

たかが乾燥、されど乾燥。

適切にスキンケアをしてあげなければ、アトピーやアレルギーに繋がってしまう恐れがあります。

 

 大切な子どものお肌。

親が、乾燥から守ってあげましょう。

 

スキンケアは肌と肌との親子コミュニケーションにもなりますから、

たくさん触れて、愛情を伝えていけるといいですね。

 

※1 Simpson EL, Berry TM, Brown PA, Hanifin JM. A pilot study of emollient therapy for the primary prevention of atopic dermatitis. J Am Acad Dermatol 2010

 

※2 Lack G.Epidermiologic risks for food allergy. J Allergy Clin Immunol 2008; 121: 1331-1336.

 

※3 Nicolaides N: Skin lipids. IV: Biochemistry and function, J Am Oil Chem Soc, 1965

 

※4 大谷真理子,大谷道輝,野澤 茜ほか:保湿剤の効果に 及ぼす塗布量および塗布回数の検討,日皮会誌,2012